糖質制限FAQ-1

一般・ダイエット

FAQ: 一般

 

Q1. 糖質制限食に興味があります。いつからどのように始めればよいでしょうか?

 

いつ始めていただいてもOKです。外食予定などがない日の夕食から糖質を減らしてみてもいいですし、お休みの日に始めるのもいいでしょう。

 

本格的に始められるのでしたら、一週間分の食事予定を立て、必要な食材を買い込んでからスタートすると何を食べるか悩まなくて済むのでスムーズに進められると思います。

 

そこまでしなくても、当面よくお世話になる(?)豆腐、卵、ナッツ類、チーズ、低糖質チョコレートなどをストックしておくだけでも続けやすくなります。

 

Q2. 糖尿病ではありませんが、ダイエット方法としてやってもよいでしょうか?

 

糖質制限食は美容・ダイエット方法としても優れています。

 

血糖値の乱高下がなくなることで血流が改善しますし、肥満ホルモン(インスリン)の追加分泌が減るので、肥満している方は減量効果が期待できます。

 

但し、太っていない方はそれ以上体重が減ることはありません。例えば、BMI:20~22の方は、それ以上やせることはないとお考え下さい。

 

糖質制限食は、健康体重までの減量と体重維持には効果的ですが、いわゆる美容体重を目指す方は、運動やカロリー制限なども組み合わせる必要があります。

 

食後高血糖を防ぎ、糖尿病の合併症や、将来糖尿病になるリスクを減らすことが糖質制限食の第一義だとお考え下さい。

 

一般的なダイエット方法である高糖質&カロリー制限では、ダイエットはできても食事のたびに高血糖を生じ、すい臓の疲弊につながるという点が重要なポイントです。

 

Q3. 糖質以外は何を食べても太らないのでしょうか?

 

一般論としては、「糖質を摂らなければ、カロリー制限は気にしなくてよい」と言えますが、「日本人の食事摂取基準」(2015年、厚生労働省)に示す推定エネルギー必要量の範囲が目安です。

 

多くの方は、カロリーを無視して満足するまで食べても自然にその範囲に収まり、減量できるでしょう。

 

しかし、世の中には驚くほどたくさん食べる方もいらっしゃいますので、いわゆる大食漢の人はさすがに要注意です。

 

肥満している方が、最も減量効果が高い「スーパー糖質制限」をしても体重が増えたり、適性体重まで減らない場合は、食べすぎの疑いが濃厚です。

 

食べる量を減らすか、運動を取り入れる必要があります。

 

糖質制限をしていても体重のチェックはこまめに行い、適宜軌道修正をして下さい。

 

Q4. 低GIだと血糖値が上がりにくい、太りにくいとよく聞きます。本当でしょうか?

 

GIとはGlycemic Index(グリセミック・インデックス)の略で、体内で糖質がブドウ糖に分解・吸収され血糖となる速さを相対的に表した数値です。

 

誤解が多い点ですが、「低GI=血糖上昇が緩やか」とは限りません。

 

GI値=<試料>摂取時の血糖上昇曲線÷<規準試料>(基本はブドウ糖)摂取時の血糖上昇曲線×100

 

です。面積の比で表すものですので、緩やかに長時間血糖値が上がるものが高GIに、急速に上昇→下降するものが低GIとなることがあります。

 

例えば「GI値35なのでヘルシー」と謳われている「ココナッツシュガー」という甘味料がありますが、実際に摂取して血糖値を測定してみると急激なスパイクを生じていることが分かります。

 

糖尿人の場合は、GI値と無関係に、糖質量そのものが血糖値の上昇に直結しますのであまり意味はありません。

 

健常者にとっては参考程度、というものだと捉えておくのがよいでしょう。

 

Q5.糖質制限をしたいのですが周囲が反対します。

 

同居家族が反対されている場合は、江部の著書などを用い、少しずつ理解していただくようにすればよいでしょう。

 

・糖質は必須栄養素ではないこと

 

・砂糖だけでなく、主食類に含まれるデンプンも糖質であること

 

・これらは等しく食後高血糖を招き、すい臓への負担を増すこと

 

・健常者においては、すい臓を長年酷使することによって糖尿病のリスクが高まること

 

・糖尿人においては、合併症リスクを下げられないこと

 

これらの点に関心を持っていただければ、強硬な反対姿勢はやわらぐと思います。

 

手っ取り早い方法としては、血糖値自己測定器を購入し、色々なものを食べて食後血糖値を計ってみるのがよいでしょう。近年、血糖自己測定器はかなり安価になり、測定速度も速く、必要な血の量もごく少量となっております。痛みもほとんどありません。

 

健常者の方でも、ご飯一善食べると一時的にどれほど血糖値が上がるのか、数値を実際に見れば驚かれると思います。

 

家族以外の反対意見は聞き流すのがベストです。糖質制限への反対意見の殆どが無理解・無関心によるものか、文化論・感情論の類です。

 

ご自身の健康のために糖質制限をされるのですから、周囲の意見は気にしなくていいと思います。

 

Q6. 糖質制限すべきではない人は?

 

糖質制限をすべきではない方もいらっしゃるので注意が必要です。

 

(A) 糖質制限の適応外

 

活動性の膵炎がある方

 

糖質制限食は相対的に高脂肪食になるので活動性膵炎の方はお避け下さい。

 

肝硬変がある方 

 

肝硬変では糖新生能力が低下しているため適応となりません。

 

長鎖脂肪酸代謝異常症の方

 

比較的希ですが、この症状をお持ちの方は脂肪酸をエネルギー源としてうまく利用できないので適応となりません。

 

(B) 注意が必要な方

 

糖尿病で、経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる方

 

低血糖になる心配があります。医師と相談の上で行って下さい。

 

機能性低血糖かつ糖質依存レベルの高い方

 

希に低血糖を起こす可能性がありますのでご注意下さい。

 

糖尿病腎症第3期以降で、eGFRが60ml/分未満の方

 

個別対応が必要です。医師とよく相談して下さい。

 

上記に限らず、どのような食事療法でも合う合わないがあります。糖質制限食もその一つですので、合わないと判断されたら中止していただければ幸いです。

 

 

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FAQ: ダイエット

 

Q1. 糖質制限をしていますが、体重が減りません。

 

まず大前提として、糖質制限食は血糖値を安定させ、適性な体重に戻すための食事方法です。どんどん痩せてモデル体型になるためものものではありません。

 

体重が減らない原因として、

 

a. 既に標準体重の範囲内にある

 

b. 基礎代謝が低い、倹約遺伝子を持っている等、体質的に痩せにくい

 

c. 糖質制限をしているつもりが出来ていない

 

d. 活動量が少なすぎる

 

e. 食べすぎ(摂取エネルギー量の過剰)

 

などがあります。

 

a: それ以上痩せることは健康面からはお奨めできません。どうしても痩せたい場合はカロリー制限、運動なども組み合わせることになるでしょう。

 

b: 摂取エネルギー(カロリー)も多少は制限する必要があると思われます。

 

c: 糖質制限食を正しく理解し、また食生活を見直してみましょう。意外なところに隠れ糖質(?)が潜んでいるかもしれません。但しあまり神経質にならないように。

 

d: どんなダイエット方法をしていても、あまりにも動かない方は痩せにくいでしょう。特にスポーツやエクササイズをしなくても、1日を通して活動量を増やすことは難しくありません。ライフスタイルの見直しをお奨めいたします。

 

e:大食感タイプの方は、標準必要エネルギー程度の摂取を心がけましょう。

 

また、糖質制限の減量効果が早く現れる人と、そうでない人がいます。

 

肥満度の高い中高年の男女は比較的早くまた大きく減量できるケースが多いです。

 

若い女性は効果が現れるまでに相当の期間が必要なケースがあります。

 

恐らく、

 

・内臓脂肪が多い肥満型:中高年に多い。糖質制限により脂肪が減りやすい。

 

・体脂肪が多い肥満型:若い女性に多い。体脂肪はそもそも減りにくい

 

という点も関係しているのではないかと思われます。

 

そもそも糖質制限食は一時的なダイエット方法として考案されたものではありません。いずれ効果は現れますので、気長に続けていただきたいと思います。

 

Q2. 糖質制限を始めてから急激にやせたので心配です。

 

肥満度が相対的に高く、また痩せたことによる体調の悪化が感じられないのであれば何も心配はいりません。

 

特に太っていないのに急激に体重が減少したり、やせすぎたりする場合は、摂取エネルギー(カロリー)が低すぎる可能性があります。体調不良にもつながりかねないので、より多くのエネルギーを摂るようにして下さい。

 

Q3.果物や野菜ジュースはダイエットにいいと言われています。糖質制限的にはどうなのでしょうか?

 

一般論としては、特に果物や野菜ジュースがダイエット(減量)に効果があるとは考えられませんし、根拠もありません。

 

同様に、それらがダイエットによくないとも言えません。

 

糖質制限の観点からは、果物や野菜ジュースに含まれる糖質量が問題となります。

 

【参考】果物100g中の糖質量

 

★糖質量大(20g以上)

 

・ドリアン(25g)

・バナナ(21g)

 

★糖質量中(10-20g)

 

・マンゴスチン(16g)

・マンゴー、ライチ、ブドウ(15g)

・柿、リンゴ(13g)

・いちじく、きんかん、ラ・フランス、パイナップル、キウイ、ミカン(11-12g)

・プルーン、ナシ(10g)

 

★糖質量小(10g未満)

 

・びわ、グレープフルーツ、オレンジ、スイカ、ブルーベリー(9-9.6g)

・スモモ、夏みかん、桃(8-8.8g)

・パパイヤ、レモン、イチゴ、アセロラ、アプリコット(6.9-7.6g)

・ラズベリー(5.5g)

・グァバ(4.8g)

 

糖質が多いと言ってもせいぜい重量比20%程度ですから、パスタや米などの穀物類よりはずいぶん少なめですね。

 

果物が好きな方は食べすぎに注意し、適宜利用すればよいでしょう。

 

野菜ジュースについてはメーカーによって糖質量に差があると思いますので、商品の栄養成分表示をご確認下さい。

 

Q4. 糖質制限をすると筋肉が減って基礎代謝が落ちるからやせないと聞きました。本当でしょうか?

 

糖質を摂らない→ブドウ糖が不足→筋肉を分解して糖新生(ブドウ糖を作る)

 

という単純な誤解です。

 

実際にはこれほどシンプルではありません。難解な話ですのでポイントだけを述べておきます。

 

  • 赤血球はブドウ糖だけがエネルギー源です。脳はケトン体とブドウ糖がエネルギー源です。肝臓はブドウ糖と脂肪酸がエネルギー源です。それ以外の心筋・骨格筋や内臓などの体細胞は全て、ブドウ糖・脂肪酸・ケトン体の3者をエネルギー源とします。絶対に必要なブドウ糖は、赤血球のためであり、肝臓で糖新生をすることで、血糖値は常に保たれているので、糖質制限食をしても低血糖にはならないのです。 

 

  • 糖新生(ブドウ糖を新しく作り出すこと)は、糖質制限をしようがしまいが、空腹時や睡眠時には、全人類において肝臓で行われています。

 

  • 糖新生の原料は、糖源性アミノ酸、乳酸、ピルピン酸、グリセロール(脂肪の分解物)などです。

 

  • 体内のアミノ酸には、食材から消化吸収されたものと、体タンパク質の分解によるものがあります。つまり、糖質制限とは無関係に、誰でも毎日一定量の筋肉細胞が分解されて再合成されてを、繰り返しているのです。

 

  • 筋肉細胞の分解で生じたアミノ酸のうち、約70%はそこでそのまま再利用され、残り30%は血液中に排泄されます。筋肉組織では、常に日常的に、このような体タンパク質の代謝回転が行われています。

 

  • 体重70kgの男性では、10-11kgの体タンパクがあり、タンパク質代謝の異化と同化の過程で、そのうち約250-300gのタンパクが毎日入れ替わります。(約3%)。

 

  • その内、食材由来のタンパクは100gとされ、腸管内の消化液、剥離した腸細胞、漏出した血漿タンパクなどの内因性タンパクの吸収と合わせ160gが消化管から吸収されます。

 

  • 糖質制限食は高タンパク食なので、絶食時などと違い、筋肉を多く分解する必要はまったくないのです。

 

【参考URL】 国立健康・栄養研究所

        筋肉を1kg増やすと基礎代謝は何kcal増えるか?

        http://www0.nih.go.jp/eiken/center/q_ener3.html

 

Q5. 糖質制限でダイエットに成功しましたが、いつまで続ければよいのでしょうか? 糖質制限をやめればリバウンドしますか?

 

糖質制限食は一時的なダイエット方法ではなく、長期的に取り組むことを前提とした、自然で健康的な食生活です。

 

一時的なダイエットのために利用されるのは自由ですが、糖質の過剰摂取が糖尿病を始め様々な健康リスクになる可能性があることは忘れないようにして下さい。

 

(個人差はあると思いますが、)糖質制限を止めればリバウンドするのは当たり前と言ってもいいでしょう。どのようなダイエット方法でも同じです。食生活や生活習慣を改善しない限り、一時的に減量してもすぐに元に戻ります。

 

糖質制限食の第一人者

(C) 一般社団法人 日本糖質制限医療推進協会 2015