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​抄録

2019年9月「健康と視力を失わないために 糖質制限のすすめ」

 

◇第2部 「眼科治療からみた糖質制限の意義」

日本は世界でも稀な高齢化社会を迎えあらゆる目の病気が増えています。さらに多くの目の合併症を引き起こす糖尿病が年々増えているのです。予備軍を入れると糖尿病を抱える日本人は2000万人にもなり、失明に至る目の病気が加速度的に増えています。

 

糖尿病は血管病なのですが、血管に関係する網膜症、腎症、下肢壊疽などの合併症を起こします。この為、糖尿病性網膜症による視力低下で眼科を訪れ、糖尿病が判明する方が非常に多くいます。糖尿病は白内障、角膜炎、網膜剥離や血管新生緑内障など失明に至る病気を起こします。いずれも手術で治療可能ですが、血糖上下変動が激しい方の目は血管破裂など繰り返し治療困難になります。

 

困ったことに、従来の糖尿病内科のガイドラインに沿った、多くの糖質を取りインシュリンで血糖を下げる方法では血糖上下変動が酷くて、糖尿病性網膜症がかえって悪化します。皮肉なことに、糖尿病内科を受診させることで網膜症が悪化する経験を数万人診ていて心を痛めておりました。

 

これに対して、血糖変動を減らすには「糖質制限」が有効であり、近年は糖尿病患者には糖質制限を強く勧めています。糖質制限により、網膜症の悪化を押さえる効果があります。ただし、いったん増殖性糖尿病性網膜症などの起きた目は糖質制限をしても治りません。つまり、糖質制限は初期の糖尿病性網膜症には有効ですが、中期から末期の血管変化による増殖膜変化の起きたものには無効です。しかし、硝子体手術後に回復した視力を守るのには、糖質制限で血糖値の変化を少なくすることは有用です。

<講師紹介> 深作 秀春 (ふかさく・ひではる)

 

1953年5月神奈川県横浜市生まれ。横浜翠嵐高校卒業後、国立航空大学校を経て82年国立滋賀医科大学卒業。88年深作眼科開院。同時にアメリカとドイツで修業、欧米国際眼科学会で受賞多数、米国眼科学会常任理事就任など世界的眼科医となる。

 

国際眼科学会ASCRS最高賞20回受賞。世界最高の眼科外科医に贈られるクリチンガー・アワード受賞。深作眼科横浜院は日本最大規模で手術件数は日本最多。深作眼科六本木院は世界中から患者が集まる東京最大級の眼科手術センター。

 

「視力を失わない生き方(光文社)」「世界最高医が教える目が良くなる32の方法(ダイアモンド社)」など著書多数。

 

また、医師として活躍する一方で、幼少からの夢を捨てず画家ともなる。枕崎国際芸術賞展、アートオリンピア2017,2019など受賞多数。「公募 日本の絵画」大賞受賞。世界最高峰ヴェネチア・ビエンナーレ2019芸術祭絵画展示中、個展多数。
 

 

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